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よしだが行く あきないえーど編
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■ 二十五話 株式会社TAPICCO 田中 彰 社長
著: 「あきない・えーど」 柳瀬美仁
こんにちは、皆さん。本文と鞄持ちの原稿共に前半はメルマガと同じです。メルマガからのお客様もめげずに最後までお読みくださいね(笑)。 あきない・えーどの柳瀬美仁です。いつも「よしだが行く!」をお読みいただきまして有難うございます。「いやぁ、いつも『よしだが行く!』を楽しみにしてるんだよ」という方、ごめんなさい。今日は「やなせが行く!」なのです。よしだは鞄持ち後記に登場いたします。というのも今日ご紹介する株式会社タピッコは私がとても訪問したい会社だったのですが、社長の田中彰氏はよしだとは10年以上にわたる昵懇の仲なのです。いまさら「よしだが行く!」でもないだろうと、「やなせが行く!」に「鞄持ちのよしだ」という図式が成立してしまいました。

年末のお忙しい時期だったのでどうしても日程調節が出来ず、結局土曜日にお邪魔する事になってしまいました。休日モードのラフな服装のよしだと私に対して、田中社長はスーツにネクタイ姿でビシッと決めて出迎えてくださいました。タピッコは「壁紙」の会社です。お邪魔した茨木の本社はドアを開けるたびにガラッと壁紙の模様が変わる、万華鏡のような楽しい空間でした。そんなオフィスの一角で、田中社長とよしだに挟まれて、ギチギチに緊張しながら私のインタビューは始まりました。

株式会社タピッコは1984年10月創業、約1年半後の1986年3月に会社として設立されました。創業は田中社長33歳の時でした。じゃ、それまで田中社長は何をなさっていたか?それがちょっと面白いんです。まず学校を卒業されて製薬会社にお勤めになられ営業のお仕事をされていたそうですが、これはわずか1年半しか続きませんでした。それからなんとびっくり、老舗の和菓子の会社にお勤めになられます。ここが「新規事業」としてみたらし団子に参入するので、その営業に携わられたのですね。1本12円50銭のみたらし団子が「芳ばしく焼けたお団子にとろ~りとろける黄金のタレ!」のセールストークによってひと月1200万円分も売れたと言います。田中社長ってかなりのやり手ですよね。ところがここも2年しか続きませんでした。唖然とする私に田中社長は豪快に笑いながら「だってな、わし、飽きっぽいねん。いっつもな、『いつまでもこんな事してたらアホになる』と思ってしまうねん。」とおっしゃっていました。
その後、田中社長は元いた製薬会社の先輩のご紹介で、インテリアの総合商社「インテリアフジ」にお勤めになります。もともとインテリアはお好きだったそうですが、ここで初めて壁紙や障子や襖と出会い、「こういうのって楽しいなぁ」と思われたそうです。好きこそもののなんとやら…。丁度その頃江坂に東急ハンズがオープンし本格的に壁紙を扱いだしたこともあり、他の社員からは浮いてるなと感じながらも、田中社長は壁紙の仕事にのめりこんでいかれます。そして遂に5年半後。機は熟したとばかりに独立を決意されるのです。

日本で最初の壁紙専門店「タピッコ」はオープン当事、お祝いの花束に埋もれました。でもね、当時DIY(do-it-yourself)で壁紙を貼ろうなんて方はあまりいませんでした。来客はからっきし…という状態だったそうです。それでも田中社長はへこたれたりしませんでした。素人にも簡単に綺麗に貼れるという「生のり付き壁紙」で特許を取り、従来には無かった新しいデザインの壁紙や障子紙をどんどん打ち出していかれます。襖って普通「砕け散る荒波に松の木」みたいな日本的なデザインが殆どですよね。でもタピッコの襖は違います。「ハワイのコバルトブルーの海にやしの木とハイビスカスの花」なんていう、まるで南国の風までも感じさせるような楽しいデザインが揃っているんです。
タピッコを語る上でもう一つ忘れてはならない転機。それは1989年にやってきます。田中社長が創業される前にお勤めになっていた「インテリアフジ」の経営が行き詰まったためにその大阪営業所を吸収合併することになったのです。在庫、社員、そしてペーパーマージンを4%払ってフジ経由で商品を仕入れることを条件に仕入先も全てを引き取られました。会社設立からわずか4年のことでした。これは大きな掛けでしたが、この時会社は一気に拡大し、飛躍的な伸びを見せます。
今年、株式会社タピッコは16期を数えましたがその間ずっと右肩上がりの伸びを示しています。ほんのわずかではあっても、必ず前期より売上を伸ばしているのです。すごいことですよねぇと感心する私に「運が良かってん」とさらっと一言言われました。「インテリアフジのことにしてもそうやけど、ここ10年ずっと不況やっていわれてるやろ。不況やったら壁紙や障子は自分で貼ろうと思ってみんなホームセンターにいかはるやろ?ここ10年バブルの時代がずっと続いてたらとっくの昔にあかんかったと思うねん。壁紙って不況に強い業種やねん。運が良かってんなぁ。」
「運が良かった」。この言葉は「よしだが行く!」で訪問する社長さんのほぼ全員が口にされる言葉です。でもよしだは言います。「『運が良かった』っていうのはな、結果やろ?科学では証明出来へんねん。だからそれは『法則』ではないねん。『失敗の法則』はいっぱいあるんやけど、『成功の法則』って無いねんなぁ。」でもそれって納得できますか?成功するのは「運」の問題だけなのでしょうか?それならお金持ちになれるのは運が良かった宝くじ当選者だけで、まじめにこつこつ働いてもお金持ちにはなれないんだなんて理屈も通りそうですよね。そんな疑問をぶつけてみました。
田中社長は、腕組みをしてしばらくの間じっと考えてからおっしゃいました。「それだけ『思い』が強かったからやろ。だから『運』がついて来よったんやろな。」それはとても説得力のある重い言葉でした。壁紙が大好きだという思い。壁紙は楽しいという思い。そんな壁紙を日本中の、世界中の人に伝えたいという思い。そんな「思い」が誰よりも強かったそうです。そんな強い思いが行動を興し、人やお金を集め、運を呼び込んだのでしょうね。だからこんなに楽しいオフィス空間があるんだなぁと納得しました。そして大阪の元気な社長さんたちは優雅に泳いでいるその水面下ですごい勢いで水を掻いている、そんな一面を見せていただいたような気がしました。

田中社長、本当に有難うございました。「経営者のお話を聞く」のになんのスキルも持たない私に、たくさんのお話をしてくださいました。本当はこれからのビジョンや経営戦略等、もっといろいろ聞かせていただいたのですが、未熟な私はそれらを十分に咀嚼する事ができず、文章に起こすことができませんでした。でも皆さん、今度の週末に是非ホームセンターに行って見て下さい。そしてタピッコの壁紙や障子紙や襖紙なんかを見て下さい。社長の思いのいっぱい詰まったとっても心躍る、楽しい商品が揃っています。年末の大掃除の傍らでご家族揃ってタピッコの壁紙や障子紙に張り替え、新しい気分で新年をお迎えいただければ「やなせも行った」甲斐があったというものです。
最後までお読みいただいて有難うございました。来週からまたいつもの「よしだが行く!」に戻ります。どうぞ引き続きご愛読くださいますようお願い申し上げます。さぁお待ちかね。「鞄持ち」よしだの登場です。
■「よしだが行く!」鞄持ち後記■
第25回鞄持ち後記 あきない・えーど所長 吉田雅紀

てなことで、鞄持ちのよしだです。(笑)
田中社長、ありがとうございました。確か?最初にお会いしたのは1987の春やったと思います。千里阪急さんの催事でした。田中社長は前年に脱サラで事業をスタートされたばかり、僕は社内ベンチャーとして新事業に取り組んで3年目。どちらも走り出したばっかりの時期でした。その後、田中社長はベンダーメーカーへと事業を拡大され、㈱タピッコは16期を経て中堅企業へと育ちました。僕はその社内ベンチャーに失敗し90年代に入ってコンサルを始めるんですが、その後も変わらぬお付き合いで、公私私・・・・共にお世話になっています。
やなせは田中社長の「強い思い」をお伝えしたようですね。いいところついてます。田中社長の口癖は「人生、思ったようにしかならへんし、そやから、反対に、人生、思ったようになる。『人生思いのまま』ガハハハ(笑)」なんてよう言うたはります。
Webでは「よしだ的たなか論」を少しだけご披露します。
まず、田中社長はおもしろい。研究の対象になり得る、興味をそそる研究材料です。(笑)そこで「よしだ的たなか論」ですが、ここでは二つご紹介します。
最初は「田中はんは買い物が好きだ!の法則」です。田中社長が本を読んだって話は聞いたことがありません。田中社長のなりの言い訳(笑)があるんですが、よしだ的たなか論では「田中社長には勉強は必要ない」って結論が出ています。たんまに、業界の会合なんかでセミナーは聞かはるみたいですけど、まったく勉強しない社長です。そしたら、あのアイデアと時代を読む目はどこから養われるのか?それは「街」という現場です。田中社長は街に出る。街は消費の中心地です。百貨店、ショッピングセンター、専門店‥田中社長は買い物が大好きです。「安物買いの銭失い」という奥様の厳しい評価もありますが、自ら消費することで、その感性を磨いてはります。街と言えば‥そうそう、夜の街もお好きでした。(笑)
次に「田中はんは期待に答えるの法則」です。田中社長からいろんな人をご紹介していただきましたが、僕も田中社長をいろんなところにお連れしました。若者の交流会、プライベートな飲み会、めっちゃガチガチの研究会、偉いさんばっかりの集まり。どんな場面でも、最初の一人か二人にご紹介しとけば、後は田中社長の一人舞台に‥。「吉田さん、田中社長っておもろい人ですよね」「吉田さん、田中社長っていい人ですよね」ハイ、ハイ、そうでしょ。だからお連れしたんです。どんな場面でも期待を裏切らない。きっちりこなさはります。これ、実は田中社長の強さなんです。だからこそ、会社が大きくなりました。
まだまだ、よしだ的たなか論、いっぱいあるんですが、今日はこの辺で‥
みなさん、一度、田中社長に会ってみて下さい。よしだはウソを申しません。ハイ。
