株式会社あきない総合研究所

吉田コンテンツ

よしだが行く あきないえーど編

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■ 第十話 株式会社リック 辻本義雄 社長

著: 「あきない・えーど」所長 吉田雅紀

僕の原稿、鞄持ちさんの原稿とも、前半はメルマガと同じ内容です。メルマガからのお客様もめげずに最後までお読みください。(笑)


こんにちは!みなさん。今回、ご紹介させていただくのは紙製パレットというまったく新しい商品を開発された株式会社リックの辻本義雄社長です。http://www.age.ne.jp/x/ricpale/index.htm 商品名を「リックパレ」と言います。みなさん?どんな商品か想像できますか?倉庫とか配送センターでフォークリフトが商品と一緒に持ち上げている台です。あのパレットのことです。
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パレットの素材には木、鉄、プラスチック、シート、紙と5種類あるそうです。現在、木製が80%のシェアとのことですが、この木製パレットに対する風当たりが日増しに強くなっています。森林伐採や輸出時の害虫駆除処理の義務化など、コストアップと環境負荷が要因です。そこで、辻本社長は木製に代わるパレットの素材として段ボールに着目。段ボールの持つ縦方向の強度とリサイクル性を活かした段ボールパレットの開発がスタートしました。

この株式会社リックは辻本社長が平成元年に設立しはった会社です。リックの前身はこれも辻本社長が創業しはった株式会社辻本紙器工業所です。この会社の歴史は古く辻本社長20歳の時(昭和35年)の創業です。昭和50年初頭には工程管理をコンピューターでするほどの先進的な企業で、同業の中ではピカイチの生産性を誇っていたとのこと。この辻本紙器工業所の八尾工場を分離し、リックが誕生しました。その後、辻本紙器工業所は東京の企業と合併し、株式会社イクソブ(XOB)となります。辻本社長はイクソブで生産管理と販売促進を担当する代表取締役副社長として社業の発展に尽力されましたが、平成4年、経営方針の不一致などから副社長を退任。そのイクソブではかなえられなかった「紙製パレット」というビジネスアイデアと一緒に辻本紙器工業所の直系であるリックに帰って来られます。
ここから、「紙製パレット開発」との戦いが始まります。
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当時、イクソブでは日本マタイさんとの提携で段ボールパレットのプロジェクトが進んでいました。日本マタイさんはこの段ボールパレットの海外特許をもっておられたのです。しかし、プロジェクト半ばにしてイクソブ側の辻本副社長が退任されることになりました。日本マタイさんはこのプロジェクトをイクソブではなく辻本社長と継続させたいとの意向でした。開発していた段ボールパレットは完成の段階にあり、すでに大手複写機メーカーから受注を受けていました。辻本社長はこの事業の成功を確信し、開発と販売促進に奮闘されます。

しかし、この複写機メーカーの次が決まりません。つまり、この時点では強度、コストなど品質面の完成度がまだまだ低く、木製パレットにはっきりとした格差をつけられていなかった訳です。そこで開発は日本マタイさんが所有されている海外特許に頼るのではなく、独自開発にて再スタートを切ることになります。まずは強度とコストが最大の課題でした。段ボール製のパレットは競合他社も開発していましたが、強度確保の為に良い素材の段ボールを何層かに使う為にどうしてもコスト高になっていました。紙が環境にいいのは分かっていますが、コストアップになるのではそのマーケットは限られてしまいます。強度があって尚且つコストを安くする為に辻本社長は「トモブロック」という新しいケタ材を開発しはります。この発明でリックパレは強度とコストの両方を獲得しました。前段でもお話しましたが、森林伐採や輸出時の害虫駆除処理の義務化、環境ISOの普及などリックパレはここに来て追い風に乗っています。
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そして、もう一つの課題「耐水性」にも新しい素材で商品開発に成功されます。それは酒パックや牛乳パック、紙コップなどの故紙再生紙の紙製ボードにVカット機能を加えたパレットです。この開発で耐水性だけでなく耐久性も飛躍的にアップしました。今まで輸出などのワンウェイでの用途が主力でしたが、この耐水性、耐久性が繰り返し使うリターナブルパレットへリックパレのマーケットを広げます。 辻本社長はこの紙製パレットの普及を昭和30年代の段ボールケースの普及時期と同じだと言っておられます。
「当時、僕たちは段ボールの可能性にかけていました。それまで物流ケースといえばすべて木製でした。家電製品から農産物まで市場では木箱が流通の主役でした。僕たちが段ボールケースを売り込みに行くと、先方の断り文句は『やっぱり、水に弱いでしょ‥』ということでした。でも、木箱が段ボールより水に強いからといって商品を野積みにしている訳ではないのです。段ボールの優位性はその後、各業界で認知されて行きます。そして、今では木箱は姿を消し、物流ケースの主流は段ボールです。パレットの世界もきっと段ボールケースと同じ道をたどります。僕が二十歳の時に段ボールケースを普及したように今、紙製パレットを普及させています。」
なんとも説得力あるお話でした。
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そして、最後にビジョンについてお聞きしました。
「段ボールにはこだわりませんが、環境と素材としての『紙』をテーマに開発を続けます。新しい仕事のアイデアはなんぼでも出てきます。誰も出来ないことをやらんと仕事してる意味がないでしょ。(笑)」
これまた納得。
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50歳から紙製パレットに取組まれて10年。リックパレは導入期から成長期へと発展しています。10年あったらなんでもモノに出来そうな元気をいただきました。
辻本社長!ありがとうございました。

■「よしだが行く!」鞄持ち後記■
第10回目鞄持ち  プロフェッショナル コーチ 黒木桂
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「東大阪の紙業会社」正直を言うと私にとってあまり馴染みの無いと思っている業種。飲食店などとは違って直接のユーザーになる可能性もあまり無いのではないかと思う会社との接点を見つけるのがまず課題かな・・という訪問でした。

 社長さんとお会いして私が一番に感じたのは「技術」です。ダンボールから今回ご紹介頂いたパレットへの発想は単なる新商品の発掘ではなく、紙の特徴・特質を知り尽くしているからこその発案なのではないかと感じました。紙に有る水との問題や他社との比較など地道に紙を追及してきた事が社長のお話に滲み出ていました。

 それにプラスされるのが「視点」です。“不自由さ”(コスト・資源etc)に加えて「環境」というグローバルな問題をISOなどの取得などを通して各社に提案して行く視点です。多くのISOに共感し取得を目指す木製パレット使用会社にとってメリットがありますが、そう言うことを問題とし取り組もうというスタンスが共通の価値観を持つ共力者を引き寄せる。見えにくいが、多くの可能性を含む出会いや繋がりも生んでおられるのではないかと感じました。

 木製パレットは輸出の際、殺菌消毒をしなければならないそうです。輸入国の決まりだそうです。少々前に、堺泉南地区で発見された「セアカコケグモ」覚えていますか?あれはオーストラリア等から入ってきたパレットに着いて来たのだそうです。でもおかしいですよね!日本にはなぜ入ってきたのか?答えはカンタン。日本では殺菌消毒の規制をしていないそうです。ここら付いてはどこの管轄下は私は知りませんが、日本の政府やお役所の「人間や環境への配慮の無さ」を感じさされるお話でした。

 ダンボールの方ではあまり儲からないそうです。紙製パレットに付いては「これから!」という感じが社長さんや専務さんのお話から感じます。ということは今が一番の正念場。

そんな中々大変な時期なのにぎすぎすした感じがしませんでした。お話の中にも希望が満ち溢れていましたし、社員一丸となって同じ方向を向いていらっしゃるのだと感じました。それは従業員さん達の「姿勢」に現れていました。工場の密集する東大阪という土地柄か、事務所へ通じる階段に迷っているとご親切に走ってきてご案内してくださった方や、工場内を見学させて頂いた時お邪魔になるにもかかわらず、従業員の方から「こんにちは」と声を掛けて頂きました。こういう細やかなコミニュケーションは人間関係を良くするだけでは無く、工場内での事故防止にも繋がるのではないかと思います。

(1)プロを感じさせる地道な技術追求姿勢
(2)シーズとニーズのバランスを見出す視点
(3)アットホームで相手への思いやりを感じる対応
 「これから!」を感じさせる商品と社内の活性。紙製パレットを知る人が増えれば増えるほど発展されるとたしかな勢いを感じました。

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