株式会社あきない総合研究所

吉田コンテンツ

よしだが行く あきないえーど編

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■ 第四話 関西商業流通株式会社」 達城久裕 社長

著:「あきない・えーど」所長 吉田雅紀

「役に立つ」これが私達の経営理念とおっしゃる達城久裕社長をお邪魔しました。達城社長は現在41歳。19歳で結婚。21歳で独立。今の会社「関西商業流通株式会社」(関通)http://www.kantsu.comの前身になる配送業でした。軽トラ1台買って、陸運局で認可もらって、その日から荷物下さいって回ったとのことです。
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この創業は7畳二間の自宅のアパートやったらしいです。その後、事業は順調に成長し、軽トラも1台から6台に‥そんな自社便が配送に出た駐車場の空きスペース活用のアイデアとして手加工を中心にした内職請負の仕事をスタートさせはります。これが今の「加工物流」の始まりでした。

この不景気、達城社長にとっては絶好のチャンスとのこと。お話によるとバブルの時はなんでもかんでも儲かるから企業は間接事業も内製化したがった。ところが、この平成不況になって、世の中みんな「アウトソーシング」。うちみたいな請負業者には絶好のチャンス。それに国の支援もいろいろある。社員教育には助成金が出て、政府系金融機関はいい条件で融資してくれる。達城社長によると今までで一番いい時代らしいです。
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「真実は一つやない」ってよく言いますが、達城社長の「今の捉え方」というか「時代認識」。すでにこの時点で勝っておられるように感じました。

そして達城社長にこの時代がビックチャンスをもたらしました。実は競売物件を7人のプロ相手に300万円差で落とされたのです。達城社長の落札価格が2億3千万円。2番手が2億2千7百万円。バブルの時ならきっとこの価格の3倍はしたでしょう。この物件は達城社長が考えていた次の関通本社ビルにピッタリ。見た瞬間に「コレヤ!」と思われたとのことです。そして、見事落札。お話があったのが4月。落札がこの6月。来月8月には新社屋に引越しです。結婚も創業も早いかったのですが、達城社長は仕事も速い。この速さ、後の話でも出てきますが、関通さんの最大の強みです。
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関通さんの事業を前段で「加工物流」といいましたが、達城社長は自分達の事業を「シンキング・ロジスティック」と言っておられます。物流だけにとらわれず、商品の制作・販売、企画宣伝も合わせて、お客様の営業実績をUPするお手伝い。これが達城社長の「シンキング・ロジスティック」です。

僕はアパレルでの加工物流のことはわかるので、アパレルの仕事はされないのですか?って質問しました。この質問に対して達城社長は‥
「アパレルの加工物流はライバルも多く、加工部分がタタミ、袋入れ、タッグ付けなど定型化しているので工夫出来るところが少ないんです。工程が決まっていると、後はコストの戦いになってしまう。関通の仕事のやり方は得意先の注文に関通なりのアイデアを付け加えて提案する。この提案がお客様に役立ち、僕たちの利益の源泉になっています。」とのお答えでした。
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倉庫に入っているお得意先の商品がアイデアのネタ。この商品?自分とこで作れないか・工夫は出来ないか?みんなで考えるとのこと。営業倉庫さんとか物流会社さんはよく知っていますが、こんな会社、初めてです。扱ってる荷物を単なる荷物と見ないでそれが商売のネタやなんて、達城社長!脱帽です。

また、仕事の品質について達城社長は「失点しない会社」って言葉で話して下さいました。
「この時代は点を取られん会社が強いと思てます。これはうちもそうやし、得意先もそうです。だから、もし、関通がミスしたら、それは得意先の失点になってしまう。でも、人間のすることやからミスはゼロにはならない。たとえば、北海道に届ける荷物が遅延した。僕は担当者に飛行機で現地まで行け!と指示します。遠ければ遠いほどすぐに行かせます。担当者は「そこまでせんでも‥」って言いますが、それが間違い。クレームにはそこまでするんです。クレームの解決にかかるコストは接待交際費と割り切っています。クレームをちゃんと解決できたら、それは得意先の失点を防ぎ、クレーム先が最終的に「あんたとこ、しっかりした運送業者使こてんな」と言ってもらえれば、得意先の得点に貢献できたことになります。
達城社長はこの品質基準を「得意先の承認を得る」という表現で説明して下さいました。「しゃないな‥」は承認を得たことにならない。「関通さんがそう言わはるんやったら、そうなんやろ。今回の件は分かった」って言ってもらわなアカン。これが関通の品質レベルということです。

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そんな達城社長は営業にとっても今の時代はチャンスや!って言っておられます。昨年、初めて大卒を2名採用されました。1年間の採用活動の結果として2名の採用が決まり、4月から5月の連休明けまでは社長自らの新入社員教育。総仕上げは外部の教育機関に預けて6月から本格的な営業をスタートさせたとのことです。ちょっと失礼な表現になってしまいますが、中小企業が大卒プロパーを採用できるのも、今の時代です。
荒本の本社からでは時間がかかるのでもともとあった谷町のマンションを拠点にして、飛び込みセールスです。彼らの足はチャリ(自転車)です。うまいこと行くかどうかわからんのに自動車は買えん‥ここら辺が大阪の商売人です。(笑)この飛び込みセールスがうれしい誤算。初年度から億の売上を作りました。毎日の日報にこまめにコメントして、手取り足とり教育したとのことです。

「社員には厳しいですよ」と一言。僕の社員教育は「出来る」を教えます。「知ってる」と「出来る」は大違い。御託はいい。仕事は出来てなんぼです。社員教育にはお金も時間もかけるとのことでした。

この飛び込みセールスのうれしい誤算も達城社長に言わせればいい時代やから‥らしいです。今まで請負仕事の営業はコネとかツテとか紹介とか‥これがほとんどでした。でも時代は変わりました。品質がよくって、コストが妥当で、スピードがあって‥いいもんやったら買ってもらえる時代です。「お付き合い」より「品質」の時代です。これは新参者も業界に食い込むチャンスが与えられた「いい時代」ってことです。

次に、達城社長はこれからの「関通」のテーマは「格」やって言っておられます。会社の格を上げる。そして、この会社の「格」を伝えることのできるセールス。今までの提案型のセールスを越える「格」を売れるセールス。次の時代を担う関通のセールス像とのことでした。

最後にこんな質問をしてみました。
「今回の競売物件の落札は『新しい本社』ということで、今後の関通に大きな意味を持っていますよね。達城社長が何回も落札の件を『ついてた』『よかった』っておっしゃってるんで、もし、この落札が神様からのご褒美やとしたら、この20年間の事業を通して、「なんのご褒美」やと思われますか?」
う~ん。と考えられて‥達城社長は「良好な人間関係」かな?ってポツン。「今回の物件を紹介いただいた銀行の支店長は僕が創業した時の担当者でした。今は支店長ですが‥。競売についてもいろんな人からアドバイスいただいたし、資金の面でも各金融機関からご支援いただきました。やっぱり、人間関係なんでしょうか?

いや~。やっぱり伸びてる会社には訳がある。ほんと、達城社長ありがとうございました。物流は這いつくばってお客さんに貢献する仕事や‥って。偉そうなこと云うても汗かいてなんぼ‥その上で知恵が利益にプラスアルファーになる。迫力あるご意見でした。

■「よしだが行く!」鞄持ち後記■
第4回目鞄持ち 豊永システム㈱ 梅原清宏
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「平成不況が一番いい時代」こうした言葉が真っ先に飛び出すのだから、確かに元気のいい会社です。達城社長は、昭和58年7月創業、昭和61年4月法人化。私は昭和60年、学校卒業と同時に創業。ほぼ同時代です。以後、約15年。達城社長は「役に立つ」を経営理念に事業を大きく発展させていらっしゃいます。一方、私はというと、一昨年廃業し、就職しています。

この違いの原因は何だろう?吉田所長と達城社長とのお話を側で聞きながら、私の思いはそこに収斂するのでした。

第一は「売上に対する執着心」です。創業当初から「前月より売上が落ちたら仕事やめようと思っていた」とは、達城社長。今でも日々の売上に非常に不安を覚えることがあるとおっしゃいます。売上に対する真剣さの違い、まずこれを痛感。

第二は「ミスへのこだわり」です。ミスを失点ととらえ、「強い会社は失点しない会社」と端的に表現されましたが、「ミスしたとき」と「ミスをしないため」、この両面で明確な方針をお持ちです。1個数百円の配送料をいただいた荷物にミスが出たら、たとえ北海道であろうとすぐ担当者がリカバリーに行く。徹底しています。また、ミスを出さないために、ホームワーク(内職)では世界で最初にISO9002を取得されています。「ミスするな」ではなく「ミスの出ない仕組みづくり」を考える。お話の端々で、「よくお考えになっているなあ」と感心しました。

第三は「人間関係を大切にする」ということです。「良好な人間関係」と達城社長は表現されていました。「良好な人間関係」のおかげで、今回とてもいい物件情報を教えてもらえたそうです。達城社長の人間的魅力の賜物。お話を聞けば聞くほど、もっとお話を聞いていたいという気になりましたが、人の心を掴むのがお上手なんですね。

伸びる企業は必然性があって伸びています。その最大の要因は経営者。今回鞄持ちとして達城社長のお話をうかがい、創業し企業を伸ばしていくことは、経営者の全人格が反映される素晴らしい挑戦であると改めて感じました。私も、鞄持ちの体験から刺激を受けて、自社の新規事業立ち上げ、イントラプレナーへのチャレンジに新たな闘志を燃やしています。元気パワーをいただいた達城社長、貴重な体験の機会を与えていただいた吉田所長はじめあきない・えーどのスタッフの皆様、ありがとうございました。

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